10月2日 (木) 曇り、夜は冷たい雨
今日の最終プレゼンは、我ながら完璧だった。クライアントの最もクリティカルな課題に対し、最適解を提示できたはず。分厚い資料の最後のページをめくった瞬間、会議室に満ちた安堵と称賛の空気。外資系コンサルタント、神崎美月。それが私の「ON」の顔。寸分の隙もなくロジックを積み上げ、常に完璧な成果を出す。それが私の存在意義であり、プライドそのもの。
でも、神様。どうして人間は、こんなにも矛盾した生き物なのでしょう。
張り詰めた糸がぷつりと切れるように、オフィスを出た瞬間から、もう一人の私が顔を出す。理性の鎧を一枚、また一枚と剥がしていく、あの抗いがたい衝動。
逃げるように会社を飛び出し、雑踏に紛れて駅へと向かう。目的は一つ。駅の化粧室、その冷たい個室の中。そこで私は、まるで別人になるための儀式を執り行う。そっとシルクのブラジャーのホックを外し、ガーターベルトごとストッキングとショーツを脱ぎ捨てた。解放された美乳が、カシミアのニットワンピースの下で自由になる感覚。下腹部に直接触れる、柔らかくも少しざらついた生地の感触。
ノーブラ、ノーパン。なんて背徳的で、淫乱な響きかしら。
この格好で満員電車に乗り込む行為は、もはや私にとって、燻り続ける欲望を鎮めるための儀式になっていた。ホームに滑り込んできた車両に乗り込むと、むわりとした男たちの熱気が私を包む。案の定、無数の視線が突き刺さるのがわかるわ。ニット越しに形を主張する胸の頂きに、揺れるスカートの裾の奥に、彼らの好奇と欲望がねっとりと絡みついてくる。
ああ、ダメ…感じてしまう。見られている。品定めされている。ただそれだけで、私の中心は静かに熱を持ち、じわりと湿っていく。
運良く席が一つ空いていた。深く腰掛けると、向かいに座るサラリーマンたちの視線が、より直接的になる。床に落ちた何かを拾うふりをして私のスカートの中を覗き込もうとする男。隣に座り、腕が触れるか触れないかの距離で、私の胸のラインを執拗に目で追う男。
気持ち悪い?いいえ、違う。これが、今の私にとって最高のご馳走なの。
私はゆっくりと目を閉じた。電車の規則的な振動が、まるで揺りかごのように心地いい。瞼の裏で、男たちの視線が形を持つ。それはもう、単なる視線ではない。肌を撫る指先となり、熱い吐息となって、私の全身を愛撫し始める。
思考が、現実からゆっくりと乖離していく…。
――その瞬間、私の腕は、力強く掴まれていた。ハッとして目を開けると、そこにいたのは、さっきまで私に熱い視線を送っていた男たち。三人の、見知らぬ男。
「次の駅で降りるぞ」
抵抗なんてできっこない。まるで催眠術にでもかかったように、私は彼らに引きずられるように電車を降り、駅の多目的トイレに押し込まれた。ガチャリ、と無機質な鍵の音が響く。
「おい、見ろよ。やっぱり下着つけてねぇぜ」
一人の男が、私のワンピースの裾を乱暴にめくり上げた。
「わざとだろ? 見られたくて、触られたくて、たまらないんだろ? この淫乱雌豚が」
卑猥な言葉が、私の知性を、プライドを、鋭いナイフのように切り刻んでいく。でも、不思議ね。痛みは少しも感じない。むしろ、その刃が私のMの部分を的確に抉り、痺れるような快感に変えていくのがわかる。
「さあ、プレゼンの時間だ。お前がどれだけ淫乱な身体か、俺たちクライアントに、その体を使って説明してみろよ」
ああ、なんて屈辱的で、なんて甘美な命令。
「まずはその胸からだ。ノーブラで擦れて気持ちよかったんだろ? どうなってるか、お前の口で言ってみろ」
私は命令に抗えず、自らの胸に手をやった。カシミアのニット越しにでもわかるほど、乳首が硬く尖り、熱を持ってジンジンと疼いている。
「…はい…っ。電車の、中で…皆様の視線を、感じて…私の、乳首は…こんなに硬く、尖ってしまって…今も、ズキズキと、疼いています…」
「口だけじゃわからねぇな。見せろ。その自慢の美乳を俺たちに晒してみろ」
言われるがまま、私は震える指で柔らかいニットの襟元に手をかけた。まるで高価な贈り物の包装を解くように、ゆっくり、ゆっくりと、片方の肩へと生地をずらしていく。現れた白い肌、鎖骨の窪み。そして、もう片方の肩も露わにすると、重力に従ってワンピースが胸元まで滑り落ち、Fカップの豊かな双丘がその全貌を現した。外気に晒された私の肌はぶるりと粟立ち、その頂点では、硬くなった乳首が恥ずかしいほどに色を濃くし、ぷくりと主張していた。
「いい色してんなァ。お前の顔も見てみろよ。屈辱と快感でぐちゃぐちゃだ。もう欲しくてたまらないって顔に、とろんとした目で涎まで垂らしてるぞ、このスケベ女」
鏡なんて見なくてもわかる。私はきっと、自分でも見たことがないほど、いやらしく、崩れた顔をしているに違いない。
男の視線が、ゆっくりと私の下腹部へと下りていく。
「次は、本題だ。お前が一番見せたい場所だろう? そのスカートの中を、俺たちが満足するように、じっくり見せてくれよ」
私は床に膝をついたまま、一度男たちを挑戦的に見上げた。そして、まるでこれから始まるショーの主役のように、優雅な手つきでニットの裾を摘む。ストリッパーが観客を焦らすように、まずは膝頭が見えるまで。男たちの喉が鳴る音が聞こえる。次に、指一本分ずつ、じりじりとたくし上げていく。柔らかな内ももの肌が露わになり、その頂点にある秘密の影がちらつく。そこで一度動きを止め、彼らの欲望が最高潮に達したのを確認してから、私はゆっくりと、その膝を開き始めた。
「さあ、どうなってる?お前の口で説明しろ」
「…私の…外側の花びらが…皆様の視線の熱で、火照って…勝手に、ゆっくりと…開いていきます…」
開いた隙間から、濡れてテラテラと光る内側の花びらが見える。その頂点にある、私の小さな蕾は、硬く、小さく尖り、男たちの視線を感じるたびに、ビク、ビクンと愛らしく痙攣していた。
「その蕾はどうなんだ?正直に言え」
「…はい…っ。この、蕾が…一番、感じて…ます…。さっきからずっと…硬くなって、皆様に、早く触ってほしくて…震えて…います…っ!」
「いいぞ、その調子だ。もっと奥までだ。お前の全てを晒け出せ!」
私はさらに自分の指で花弁を限界まで押し開いた。今まで誰にも見せたことのない、私の最も奥深く、神聖であるはずの入り口が、完全に露わになる。そこからは、私の興奮を示す愛液が、とくとくと泉のように脈打ちながら溢れ出していた。
「…ああ…っ、もう…全部、見えちゃって…っ!私の、奥の奥から…こんなに、こんなにたくさんの、いやらしいお汁が…溢れて、止まりません…っ!」
もう限界だった。私は、顔を歪め、喘ぎながら叫んでいた。
「早く…!もう我慢できませんっ…!こんなに見せつけて、濡らして待っているんです…!早く、誰かの、大きくて硬いもので…私のこの穴を、めちゃくちゃにしてください…っ!」
私の完璧な「プレゼンテーション」を聞き終えた男たちは、満足そうに、下卑た笑みを浮かべた。
「よく言えました。やっと本性を見せたな、この超一流の痴女様がよ」
一人が私の背後に回り、露わになった美乳を鷲掴みにする。もう一人は私の顎を掴んで、彼の熱の塊を私の口へと押し込んできた。そして最後の一人が、私の両足を抱え上げる。
私の中心に、ゆっくりと、硬く、熱い何かが押し当てられる。
これはもう、ただの妄想なんかじゃない。電車の微細な振動は、彼の律動的な腰の動きそのものに変わっていた。私の身体がずっと求め続けていた、絶対的な「力」という名の現実。
熱い鉄の杭が、私の最も柔らかな場所をこじ開けてくる。幻想の硬さが、私の内部の襞を押し広げ、現実の私の身体は意思とは無関係にきつく彼を締め上げた。
「んんっ…!」
ああ、奥…。私のいちばん奥、聖域であるはずの子宮の入り口を、彼の先端がゴリ、と音を立てて突き上げる。その瞬間、思考が真っ白に弾け飛んだ。神崎美月という理性の塊だった私が消え、ただ快感を貪り、雄に尽くすだけの「雌」が、そこにいた。
彼の脈動が、内部で激しくなる。それに呼応するように、現実の私の身体からは、もう堪えきれないほど、白濁した愛の蜜が溢れ出し、幻想の彼を受け入れるたびに、ぬちゃぬちゃと卑猥な音を立てて漏れ出していく。
「あ…ぁ…いく、いっちゃうぅ…!」
彼のものが、私の最奥で大きく膨れ上がるのを感じた。そして、熱い、白い奔流が、私のすべてを白く、白く染め上げていく…。
――「次は、終点、新宿。新宿です」
無機質なアナウンスの声で、私は現実の世界に引き戻された。
ハッと目を開けると、目の前のサラリーマンたちは退屈そうにスマホを眺めている。何も、起きていない。当たり前の、日常の風景。
でも、私の身体は、確かにあの幻想の続きを生きていた。スカートの中、太ももを伝う、生温かい液体の感触。見なくてもわかる。私がどれだけ、はしたなく乱れてしまっていたのか。
羞恥と、まだ身体に残る興奮の残滓で、顔から火が出そうだった。
プシュー、とドアが開く音。私は、まるで何かに追われるように、転がるようにして電車から飛び出した。夜のホームの冷たい空気が、異常に火照った身体を優しく撫でていく。
ああ、私はいったい、どこまで堕ちていくのかしら…。

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