ねぇ、聞いてくれる…?
今夜も私、神崎美月は、一人きり、静まり返った寝室のベッドの上。
いつもなら、難しい仕事の資料や経済紙を片手に、知的な自分で一日を締めくくるはずなのに…。今夜は、どうしようもなく、ダメだった。
きっかけは、ほんの出来心だったの。
PCの画面に偶然表示された「痴女」「森沢かな」という、蠱惑的なキーワード。そして、『隣の未亡人に…家族全員痴女られました。』なんて、背徳的なタイトル。
隣に引っ越してきた美しい未亡人が、父と息子たちだけの家庭を、その熟れた身体ひとつで崩壊させていく…。そんなあらすじを目で追っただけで、私の喉はカラカラに渇き、身体の奥深く、普段は固く閉ざしているはずの何かが、じわりと熱を持ち始めるのがわかった。
「夢のようやないけ…かなちゃんに痴女られるなんて♫」
誰かが残した、そんな短い感想。
そのたった一言が、私の理性のダムに、最後の決定的な亀裂を入れたの。
シルクのパジャマ越しに、無意識に自分の身体をなぞっていた。まずは、お腹から胸元へ、ゆっくりと。指先が鎖骨の窪みを通り過ぎ、ふっくらとした胸の谷間へと滑り落ちていく。
ふぅ…っ。
思わず、熱い吐息が漏れる。
指先が、パジャマの薄い生地の上から、左の乳首の突起に触れた。ただ、触れただけ。それなのに、ビクンッ!と、まるで電気でも走ったかのように、背筋が震えた。
まだ、服の上からよ…? なのに、私の乳首は、まるで見せつけるかのように、硬く、小さく、尖っていく。その変化が、生地を通して指先に伝わってきて、恥ずかしくて、でも、もっと知りたくなってしまう。
もう片方の手で、パジャマの第一ボタンに指をかける。
冷たいシェルのボタンが、火照った私の指先には気持ちがいい。一つ、また一つと外していくたびに、胸の谷間に夜の冷たい空気が流れ込んできて、肌が粟立つのを感じる。
そして、ついにレースのブラジャーだけが、私の昂りを隠す最後の砦になった。
指を、そっとカップの中に滑り込ませる。むわりとした熱気が、指を歓迎してくれる。柔らかい膨らみの中で、硬く尖ったままの乳首を探し当て、人差し指と親指で、そっと転がしてみる。
「んぅ…っ、ぁ…」
ダメ、声が漏れる。
最初は優しく、まるで熟した果実を確かめるように。でも、指先の感覚に集中すればするほど、森沢かな…彼女の妖艶な顔が脳裏に浮かんでくるの。
彼女は、どんな風にあの息子たちを誘惑したのかしら…?
きっと、私みたいに焦らしたりなんてしない。もっと大胆に、最初からすべてを曝け出して、抗えない快感で、彼らの理性を奪い去ったに違いないわ…。
そう考えた途端、私の指の動きも、自然と大胆になっていた。
ブラジャーのカップをぐいっと上に釣り上げて、露わになった乳房を、手のひら全体で包み込む。もう片方の手は、さっきまで弄んでいた乳首を、今度は少し強く、つまんで、こねるように刺激し始めた。
「あ…っ、ん、ふぅ…っく…」
快感が、背骨を駆け上がっていく。
同時に、私の意識は、身体の下の方へ、もっと湿った、熱い場所へと引き寄せられていくのがわかった。
もう、隠せない。
パジャマのズボンの中に滑り込ませた指先が、しっとりと濡れたパンティーの感触を確かめてしまったから。クロッチの部分を、指の腹で、ゆっくりと縦になぞってみる。

じゅわ…っ。
ああ、なんてこと…。
黒いレース生地は、私の蜜で、もうすでに色濃く染まっている。
その湿り気は、まるで彼女…森沢かなが、父子家庭に蒔いた痴態の種が、私の身体の中で芽吹いてしまった証拠のよう。
私がなぜこれほど乱れてしまったのか、その理由を知りたくない…? 私の指がどうしてこんなに大胆になったと思う…? 言葉だけの告白じゃ、きっと信じられないでしょうね…。
いいわ、特別。共犯者のあなたにだけ、見せてあげる。
私の理性をぐちゃぐちゃにした、「証拠」の映像を。これを見れば、私の身体の熱が、この日記の文字を通して、あなたにもきっと伝わるはずだから…。
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…どう、だった…?
彼女の、あの悪魔のような、それでいて女神のような微笑み。
若い息子の前で、熟れた乳房を晒し、授乳するかのように手コキをするあの姿…。父親のすべてを、舌で舐めとるように味わい尽くす、あの執拗なまでの痴態…。
もう、私には限界だった。
パンティーの濡れた生地を、焦ったく指で横にずらす。そこからは、もう、堰を切ったように、愛液が溢れ出していた。キラキラと光るそれを、指先にたっぷりと絡め取り、ゆっくりと、自分の入り口へと運んでいく。
「…んっ、ぁ…ひぅ…っ」
クリトリスに触れた瞬間、びくびくっ!と腰が大きく跳ねた。
もう、ここもカチカチに硬くなって、私の指を待ってくれていた。クルクルと、円を描くように優しく撫でているだけで、脳が蕩けて、思考が真っ白になっていく。
でも、ダメ。これだけじゃ足りない。
彼女が、あの家族にしたみたいに、もっと、めちゃくちゃにして欲しい。めちゃくちゃになりたい…。

私は、濡らしに濡らした指を、一本、ゆっくりと自分の中に沈めていった。
「…は、ぁ…っ、んん…っ!」
熱い…。中は、もうすでに、信じられないくらい熱くて、私の指を締め付けてくる。壁という壁が、ぬるぬるとした感触で、指にまとわりついて、離してくれない。まるで、私の中が「もっと奥まで来て」と、ねだっているみたいに。
ゆっくりと指を抜き差しするたびに、「くちゅ…、くちゅ…」と、恥ずかしい水音が、静かな部屋に響き渡る。
この音を聞きながら、あの父親は、彼女に抱かれたのかしら…。
息子たちは、自分の父親が犯されているとも知らずに、その隣で眠っていたの…?
そんな背徳的な光景を思い浮かべると、私の腰の動きは、さらに速く、激しくなっていく。
一本だった指が、いつの間にか二本に増えていた。狭い入り口をこじ開けるように、ぐっと押し込む。さっきよりも強い圧迫感と、内側から押し広げられる感覚に、思わず甲高い声が漏れてしまう。
「いっ、く…ぁ、あぁんっ…!」
もう、私の中に「神崎美月」という理性的な女はいない。
いるのはただ、森沢かなという「痴女」の偶像に自分を重ね合わせ、快感に溺れる一人のメス。
映像の中の彼女が、三人の男たちに囲まれ、トリプルフェラをしていたシーンが、フラッシュバックする。
あの満たされた、恍惚の表情…。

私も、もっと欲しい。
三本目の指を、強引にねじ込もうとする。さすがに少し痛くて、でも、その痛みが、なぜか興奮をさらに加速させるの。
「はぁ…っ、はぁ…っ、だめ、もう…、いっちゃ…」
指を三本入れたまま、内壁をごりごりと抉るように掻き回す。
外では、もう片方の手の親指が、硬くなったクリトリスを、ぐりぐりと強く押し潰すように刺激している。
上下からの、激しい快感の波。
視界が、白く、点滅する。
「あ、ああああああああーーーーーっっ!!!」
ビクンッ!ビクンッ!と、身体が大きく何度も痙攣して、私の奥から、熱いものが、何度も何度も、溢れ出した。指が、シーツが、私の愛液でぐっしょりと濡れていく。
しばらく、私は荒い呼吸を繰り返しながら、天井をぼーっと見つめていた。
身体の力が抜けて、頭がぼんやりしている。
…私をここまでさせた、この作品。
私の中の「痴女」を、いとも簡単に引きずり出してしまった、森沢かなという女優。
ねぇ…。
私をこんなにもぐちゃぐちゃにした、この作品のすべて…あなたも、見てみたいと思わない…?
今夜、私を「痴女」にした作品を<br>あなたもこっそり覗いてみる…?
ふふ…。
今夜の私は、彼女と同じ「痴女」だったのかもしれないわね。
シーツの染みを指でなぞりながら、そんなことを考えている。
この熱が、まだ私の身体から抜けきらないうちに、もう一度…。
ねぇ、次は、あなたの番よ…?
私みたいに、正直になってみては、どうかしら…。


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