また、やってくれた。
私のチームにいるアシスタントの佐藤くんが、クライアントに提出する資料に、信じられないような数字の間違いを記載したまま送付してしまったのだ。幸い、すぐに私が気づいてリカバリーに動いたから大事には至らなかったけれど、一歩間違えればプロジェクトを揺るがしかねないミスだった。
「…佐藤くん、少し話があるから、第3応接室に来てくれるかしら」
インカム越しに、私はできる限り冷静な声でそう告げた。けれど、私の内側では、別の感情が渦巻いていた。彼は、仕事の能力はまだ未熟なくせに、いっちょまえに雄としての視線だけは隠そうともしない。会議中、私が脚を組み替えれば、その太腿の付け根を。私が身を乗り出してペンを取れば、タイトなブラウスに浮き出る胸の膨らみを。まるで服を透視するかのように、私の身体のラインを執拗になぞるそのいやらしい視線は、いつも正確に私の身体の急所を捉えていた。
応接室の重厚なドアを閉めると、世界から切り離されたような静寂が支配する。革張りのソファに深く腰掛け、私は彼が入ってくるのを待った。そして、ノックの後におずおずと入ってきた彼に、向かいの席に座るよう顎で促す。
「今回のミス、どういうつもりなの?」
「も、申し訳ありませんでした…!完全に、僕の確認不足で…」
俯いて謝罪する彼の姿を見下ろしながら、私はゆっくりと脚を組み替えた。いつもより深く。スカートのスリットが大胆に裂け、ストッキングに包まれた膝の裏までがあらわになる。彼の視線が、一瞬だけ私の脚に吸い寄せられ、すぐに慌てたように逸られるのを、私は見逃さなかった。
「言い訳は聞きたくないわ。問題は、なぜそうなったのか、そして君が普段、何を考えて仕事をしているのか、ということよ」
そう言いながら、私はテーブルに身を乗り出した。わざと、深く屈み込むように。Vネックのブラウスの襟元がたわみ、レースのブラジャーに包まれた谷間が、彼の目の前に晒される。
「…聞いてるの?佐藤くん」
「は、はい!聞いてます…!」
彼の声は上ずっていた。視線は、私の胸元と顔との間を行ったり来たりしている。…そう、それでいいのよ。もう一人の冷静な私が、心の中で囁く。仕事の説教なんて、ただの口実。これは、貴方という若い雄が、私の前でどこまで理性を保てるのかを試す、甘く背徳的な罠なのだから。
説教の裏に隠した、雄を試す甘い罠
「君の視線には、前から気づいていたわ」
氷のように冷たい声で、私は言った。彼の肩が、びくりと跳ねる。
「私が脚を組み替えるたびに、スカートの中を覗こうとしていたでしょう。私が身をかがめるたびに、胸の谷間を盗み見ていた。違うかしら?」
「そ、それは…!あの、決して、そんなつもりじゃ…!」
狼狽する彼の姿が、私の奥深くをじわりと熱くさせる。言い訳なんてさせない。私はゆっくりと立ち上がると、彼の座るソファの前に回り込んだ。そして、彼の顔を覗き込むように、すぐ目の前に立つ。
「あら、でも、君の身体は正直みたいね」

私の視線は、彼の股間へと注がれる。スラックスの生地が、その内側にある熱の塊によって、くっきりと張り詰めていた。もう、隠しようもないほどに。
「…神崎、さん…」
「言い訳、あるのかしら?私の身体を見て、こんなにも昂らせておいて」
彼の喉が、ゴクリと鳴った。私の下腹部が、きゅう、と甘く疼く。
…ああ、もう我慢できない。
「もっと、見たいの?」
悪魔の囁きだった。私は自分のブラウスの第一ボタンに指をかける。一つ、また一つと外していくたびに、彼の呼吸が荒くなっていくのがわかる。ブラウスがはだけ、黒いレースのブラジャーがあらわになる。私はそのホックには手をかけず、カップの上縁から指を滑り込ませ、むっちりとした乳房を半分だけ、むにゅり、と溢れさせた。
「ほら…見て。君の視線を感じて、私の乳首はこんなに硬くなっているわ」
指先で、硬くなった先端をころころと転がして見せつける。さらに、私は自分のスカートの裾を掴むと、ゆっくりと、本当にゆっくりと捲り上げていった。太ももがあらわになり、ストッキングを留めるガーターベルトが姿を見せる。そして、その中心に鎮座する、シルクの小さなスキャンティー。
「さあ、言ってごらんなさい。今、私の身体がどうなっているのか。君のそのいやらしい目で見たままを、卑猥な言葉で教えてちょうだい」

彼の唇が、わなわなと震える。その屈辱と興奮に歪んだ顔が、私にとっては何よりの媚薬だった。
彼の喘ぐような声が、私の身体をいやらしく説明していく。
「か、神崎さんの…おっぱいは、ブラジャーから溢れそうで…すごく、柔らかそうで…。さっき見せた乳首は、硬く尖ってて…僕が、舐めたらもっと硬くなるんだろうなって…」
その言葉の一つ一つが、私の秘裂からじゅわ…と蜜を溢れさせた。
「スキャンティーは…もう、ぐっしょり濡れてて…色が、濃くなってます。きっと、中はもっと、僕の知らない甘い匂いがして…僕の指を待ってるみたいに、ひくひくしてるんじゃないかって…そう思ったら、もう…!」
ああ、ダメ。彼の言葉が、私の脳を直接犯してくる。想像だけで、私の泉はもう決壊寸前だった。
理性を溶かすペニスの匂い、獣の雌へと堕ちていく私
もう限界だった。私は彼のベルトに手を伸ばし、乱暴にバックルを外すと、ズボンのジッパーを引き下ろした。
「出しなさい。君が私に見せたくてたまらなかったものを」
命令すると、彼は恐る恐る、しかし逆らえずに、熱く硬くなった自身をアンダーウェアから解き放った。若々しく、生命力に満ちた雄のシンボル。でも、今の私が求めているのは、その形ではなかった。
私は彼の前に跪くと、その先端に顔を寄せた。そして、目を閉じて、深く、深く、息を吸い込む。
…ああ…!
脳髄を直接揺さぶられるような、強烈な匂い。汗と、わずかな尿の匂い、そして若い雄だけが放つ、むせ返るような精気の香り。それは、どんな高級な香水よりも、私の本能を直接刺激した。理性のタガが、音を立てて外れていくのがわかる。そうだ、最近の私は、この「匂い」だけで、簡単に雌になってしまうのだ。

「…はぁっ…んぅ…いい匂い…」
私は夢中で匂いを嗅いだ。犬のように、鼻先を擦り付け、クンクンと何度も匂いを吸い込む。この匂いがもっと欲しい。この匂いに、全身を支配されたい。
気づけば、私はその熱い先端を唇で挟んでいた。ゆっくりと口内に迎え入れると、唾液と混じり合った匂いが、口腔全体に広がっていく。
「ん…んん…っ…おいひぃ…この、にほい…すきぃ…」
もう、まともな言葉が出てこない。完全に「上司」の仮面は剥がれ落ち、私はただの獣の雌になっていた。片方の手で自分の乳房を揉みしだき、硬くなった乳首を強く爪立てる。もう片方の手は、スキャンティーのクロッチを横にずらし、濡れそぼったクリトリスをぐりぐりとこすり始めていた。
「んぅ…っ!ちんぽの匂い、すごいぃ…!私のまんこ、びしょびしょだよぉ…見てぇ…っ!」
私は彼を見上げながら、淫らな言葉を吐き散らす。口の中では彼のペニスを深く咥え、舌を絡めとり、その匂いを味わい尽くす。でも、クリトリスをこするだけでは、もう足りない。溢れ出る熱を持て余した私の指先が、自然と蜜の泉へと吸い込まれていく。
「あ…んぅっ…!」
指が一本、ぬるり、と私の体内に滑り込んだ。途端に、内壁が待っていましたとばかりにきゅうっと締め付け、指に絡みついてきた。なんていやらしいのかしら、私の身体は。まるで飢えた生き物のように、指を捕らえて離さない。内側の襞が、くねくねと蠢いて、もっと奥へ、もっと深いところへと指を導こうとする。
「見て…佐藤くん…私のまんこ、指を食べてる…っ、んく…っ」
くちゅ、くちゅ、と自分の指が出すいやらしい水音を聞きながら、私はもう一本、指をこじ開けるように追加した。狭い入り口が無理やり広げられ、二本の指が奥を探る。壁面をなぞると、ざらりとした、一段と敏感な場所があった。そこを指の腹でぐり、と押すと、電流のような快感が背骨を駆け上がった。
「ひぃっ…!あ、そこっ、だめぇ…!イっちゃう、イっちゃうからぁ…!」
口では拒絶しながらも、腰は勝手に揺れている。彼のペニスを咥えたまま、涙目で彼を見上げる。彼の身体がびくびくと痙攣しているのがわかるけれど、もうどうでもよかった。今はただ、この雄の匂いにまみれながら、自分の身体をめちゃくちゃに慰めて、快感の渦に堕ちていきたいだけだった。
この背徳的な夜の続きを、貴方も目撃する…。
応接室のドアを一枚隔てただけで、世界はこんなにも変貌する。理性の仮面を剥がされ、獣の匂いに身を委ねる夜は、一度知ってしまえばもう元には戻れない。私の日記には、貴方がまだ知らない、もっと深く、もっと濃密な背徳の記録が綴られているわ…。

コメント