金曜の夜。最終電車。そして、招かれざる指
ガラス窓に映る自分の顔は、ひどく疲れていた。
外資系コンサルタント、神崎美月、26歳。今週もまた、100時間を超える労働の末に、私は思考の抜け殻となって揺られている。数字とロजिकだけで構成された世界で戦い続けた脳は、沸騰したまま冷めることを知らない。
なのに、身体は正直ね。鎧のように身を固めたディオールのスーツとは裏腹に、その内側は、ただひたすらに熱と刺激を求めて疼いているのだから。
金曜の最終電車。アルコールと疲労が入り混じった澱んだ空気の中、ドア付近に立つ私のすぐ後ろに、一人の男が立った。別に、珍しいことではない。この時間帯のこの車両は、人と人が触れ合わずにいることの方が難しいのだから。
最初は、気のせいだと思った。
背中に感じる、誰かの体温。それが偶然ではないと気づいたのは、軽い振動に合わせて、何かが私のジャケットの上から、右の乳房の膨らみを確かめるように、ぐ、と押し付けられた時だった。
(…なんですって?)
もう一人の冷静な私が、警鐘を鳴らす。痴漢だわ。最低の、雄。普段の私であれば、即座に振り返り、その汚らわしい腕を掴み上げ、軽蔑と怒りに満ちた視線で射殺してやったでしょう。
でも、今夜の私は、壊れていた。

やがてその手は、そろり、と腰の方へ降りてきた。タイトスカートの滑らかな生地の上を這い、私の丸いヒップを、まるで吟味するかのように鷲掴みにする。そして、さらに下へ。スカートの裾から、その無遠慮な指が侵入してきた。
シルクのストッキングが終わり、ガーターベルトの留め具が触れる、そのすぐ上。露わになった私の太ももの素肌に、男のざらついた指先が触れた。
「ひぅっ…!」
ぞわり、と全身の肌が粟立つ。脳が危険信号を発するより早く、私の秘部からは、もう蜜がじわりと滲み出していた。
ああ、なんてこと…。もう一人の私が、嘲笑う。
「ほら、神崎美月。お前が本当に欲しかったのは、これなのだろう?ショーツのクロッチが、お前の本音でじっとりと濡れていく様を、この男はもう感じ取っているぞ」
指は、太ももの内側の柔らかな肌をゆっくりと這い上がり、私の身体の中心へと到達した。薄いシルクのショーツの上から、熱い指の腹が、私の泉を押し潰す。布地に吸われていく熱い蜜の感触が、私をさらに恥ずかしくさせた。
そして、その指先が、いとも簡単にクロッチの布地を横にずらし、私の濡れた粘膜に、直接触れたのだ。
「あっ…ぁ…んっ…」
熱い。硬い指の腹が、私のクリトリスを、探り当てるようにこすり上げる。一度、二度。それだけの愛撫で、私の腰は小さく痙攣し、膝から力が抜け落ちそうになる。だめ、声が出たら終わる。私は必死に唇を噛みしめ、ただこの汚らわしい快感の嵐が過ぎ去るのを待つ…のではなかった。
その指が、私の最も感じやすい場所を的確に捉え、ぐり、と圧をかけた瞬間。私の脳裏で、何かが焼き切れる音がした。
抵抗できない身体と、芽生えた黒い支配欲
男が、次の駅で降りようと身を引いた。
その瞬間、私は、まるで猛獣のような速さで振り返り、その男の腕を、万力のような力で掴んでいた。
「…っ!?」
驚愕に見開かれる、平凡なサラリーマンの目。私が、さっきまでなすすべもなく嬲られていた女だと、信じられないのだろう。
「どこへ行くつもりかしら?」
私の声は、自分でも驚くほど冷たく、静かだった。
「私の言う通りにしないと、どうなるかわかるわよね?『痴漢』さん」
男の顔が、絶望に青ざめていく。その表情が、私の心を、最高に昂らせた。
そうだわ。それでいいの。その顔が見たかった。
私は男の腕を掴んだまま、まるで恋人をエスコートするように、ホームへと降り立った。
「こっちよ」
私が彼を連れて行ったのは、駅の隅にある多目的トイレだった。幸い、誰も使ってはいない。鍵を閉めた瞬間、密室になった空間で、私たちの立場は完全に入れ替わった。
「私の身体に火をつけたのは、あなたよ」
私はそう囁きながら、男の前に跪いた。震える手で彼のベルトを外し、ファスナーを下ろす。露わになったのは、私の身体を弄んだ、熱く硬い欲望の塊。
その先端から、透明な雫がひとつ、ぷくりと盛り上がっているのが見えた。さっきまで私の身体を触っていたことで昂った、雄の証。

私はうっとりとした顔で、その「我慢汁」と呼ばれる液体に、そっと人差し指で触れた。とろりとした粘り気が、指の腹に絡みつく。指を離すと、ペニスの先端と私の指の間に、きらきらと光る一本の糸が引かれた。
ああ、なんて…。なんて、いやらしい…。
私は、まるで獣のように、その糸ごと指を口に含み、舌で舐めとった。ほんのりと塩辛く、鉄のような味が、私の理性を完全に麻痺させる。
「ふふっ…いい味ね」
私は顔を上げずに、自分のスカートの中に手を入れた。ガーターベルトのストラップを指で感じながら、濡れそぼったショーツのクロッチをずらし、自分の秘裂に指を滑り込ませる。
「これよ…」
男のペニスを頬で感じながら、自分のクリトリスを指でなぞる。
「これが…これが欲しかったのよ…。あぁんっ…なんて…なんていい匂いなの…っ」
私の指が、自分の愛液でぐちゃぐちゃになる音と、男のペニスをしゃぶる水音が、狭いトイレの中に響き渡る。快感と興奮で、もう頭がおかしくなりそうだった。
密室の背徳感と、言葉で責める快楽
私は、たっぷりと彼のそれをしゃぶり尽くした後、顔を上げた。欲望に潤んだ瞳で、恐怖に引きつる男の顔を見つめる。
「あんたから手を出したんだから、責任、取りなさいよ」
有無を言わさぬ命令。
私は立ち上がると、便器に手をつき、自らスカートをたくし上げ、ショーツを足首まで下ろした。そして、熟れた果実のように濡れ光る秘部を、これ見よがしに突き出す。
自分の指で、花弁をゆっくりと開いてみせる。中から、さらに多くの蜜がとろりと溢れ出した。
「さあ、早く。ここに入れて」
男は、まるで操り人形のように、私の後ろに立った。
彼の欲望の先端が、私の入り口に宛がわれる。その熱だけで、私の身体はびくん、と大きく跳ねた。
「待って」
私は挿入しようとする男を制止した。

「その前に…よく見なさいよ。私のここが、今、どんな風になっているか。ちゃんと言葉で説明して。私に聞こえるように」
「え…?」
「早くしろって言ってるの!」
男は、恐怖と欲望に震える声で、私の命令に従った。
「あ…あの…すごく、濡れて…光ってて…。蜜で、ぐちゃぐちゃに…なってて…入り口が、ひくひく、してます…」
その卑猥な言葉が、私の脳を直接揺さぶる。自分の身体が、他人の言葉によっていやらしいオブジェに変わる。その屈辱的な快感に、私の腰は自然に震え、さらに多くの愛液が太ももを伝い始めた。
「そう…。続けて」
男は、私の欲望の先端で、私のクリトリスを、ねぶるように、ぐり、ぐりと擦り始めた。
「あ…ぁっ!…んんっ…!」
声にならない声が漏れる。だめ、こんな前戯だけで、イってしまいそう…!
私の秘裂から、だらだらと水のような蜜が溢れ、彼のペニスを伝って床に滴り落ちるのがわかった。
「もう…いいから…はやく…」
その懇願を合図に、彼の先端が、私の濡れた入り口にゆっくりと沈み込んできた。
抵抗なんて、あるはずもない。私の膣の内壁が、まるで生き物のように蠢き、彼のペニスに絡みつき、吸い付き、もっと奥へ、もっと深くへと、自ら導いていく。
ぐ、ぐ、と肉がこすれ合う生々しい音。
ある一点を彼が通過した瞬間、私の背筋に、今まで感じたことのない種類の電撃が走った。
「ひっ…!あ、そこ…っ!」
Gスポット。私の、一番弱い場所。
男がそれを理解したのか、一度動きを止め、そこを抉るように、ペニスの角度を変えた。私の腰が、意思とは無関係に、くねり、うねり、最高の角度を探し始める。
そして。
最奥まで突き進んだ彼の先端が、私の身体の一番奥深く、子宮の入り口(ポルチオ)に、こつん、と硬い感触を残した。
「あ゛っ…!イくっ…!!」
その瞬間、私の頭の中は真っ白な光で満たされた。身体の芯から、灼熱の快感が爆発し、全身がガクガクと激しく痙攣する。熱い奔流が、私の身体の奥から何度も何度もほとばしり、彼のペニスを洗い流していく。
ああ、今夜の私は、完全に、雌の獣になってしまった…。
この背徳的な夜の続きを、貴方も目撃する…。
理性とプライドを脱ぎ捨てた夜、私はただの「女」になる。一流コンサルタント、神崎美月が、誰にも見せることのない痴態と欲望の全てを、貴方だけに告白しましょう…。私の日記を覗き見る勇気は、おありかしら?

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