2025年10月2日 高度3万フィートの告白・最終楽章
長時間のフライトにおける、私だけのささやかな儀式。離陸前の慌ただしさが落ち着くと、私はいつも化粧室に籠り、身体を締め付ける窮屈なブラジャーを外すの。解放された胸の重みを、シルクのブラウス一枚で受け止める。この、誰にも知られない無防備さこそが、これから始まる長い夜への、背徳的な合図なのだわ。
席に戻ると、隣には仕立ての良いスーツを着こなした、おそらくは私より一回り以上は年上の男性が座っていた。彼が書類から顔を上げた瞬間、その視線が私を捉える。
そして、聞こえ始める。私の理性を蝕む、甘い毒の声が。
『……お気づきかしら、美月。あの男、貴女の胸元を見ているわ。その薄いブラウス一枚の下に、熟れた果実が無防備に揺れていることなど、知る由もなくね』
悪魔が私の内でほくそ笑む。やめて、そんな風に言わないで。私はただ、リラックスしたいだけ……。
『リラックス? 違うでしょう。貴女は望んでいるのよ、気づかれることを。さあ、脚を組み替えなさい。もっと深く、ゆっくりと。そのスリットが本来の役目を果たせるように』
命令に抗えない。私はゆっくりと脚を組み替える。深いスリットがはだけ、シルクのストッキングに包まれた太腿のラインがあらわになる。男の視線が、一瞬そこに釘付けになったのを、私は見逃さなかった。身体の芯が、小さく疼く。
やがて機内食のサービスが終わり、照明が落とされていく。闇は、私の欲望のインキュベーター。
『いいわ、最高の舞台が整った。では、一つずつ、その仮面を剥いでいきましょうか。さあ、ブラウスのボタンに指をかけるのよ』
なぜか悪魔の囁きに抗うことはできず、震える指が、命令通りにボタンを外す。一つ、また一つと、闇の中に白く浮かぶ肌の面積が増えていく。三つ目のボタンを外した時、豊かな双丘の上部と、深い谷間の影が完全にあらわになった。
『素晴らしいわ。彼はもう貴女の虜。ならば、最後の一押しが必要ね。貴女がただの女ではない、特別な雌であることを、教えてあげなさい』
悪魔は、さらに残酷な命令を下す。私は座り直すふりをしながら、スカートの生地を指でつまみ、ほんの一瞬だけ、太腿の上へと滑らせた。暗闇の中、彼の目に、私の肌に食い込むガーターベルトの黒いラインが焼き付いたはずだ。男が息を呑む、微かな音が聞こえた。
『仕上げなさい、美月。その震える指で、貴女の肌に触れるのよ。その開かれた胸元に。彼に見せつけながら、自分を慰めてごらんなさい』
もはや、抵抗する力は残っていなかった。私はゆっくりと自分の胸元に手を差し入れ、露出した谷間に指を滑らせる。指先が、乳房の柔らかな膨らみに触れた、その瞬間だった。
——だめだ、もう、ここにいられない。
羞恥と興奮の限界を超え、私は逃げるように席を立った。よろめく足で化粧室に飛び込み、乱暴に鍵をかける。鏡に映った私は、完全に雌の顔をしていた。
『さあ、始めましょう。シートではできなかったこと、その全てを、彼に見せておやりなさい』
鏡の中に、さっきの男の幻影が立つ。彼は何も言わず、ただ私を値踏みするように、じっとりと見つめている。
『まずは、その胸からよ。ボタンを引きちぎるように外しなさい。そして、その美しい乳房を両手で揉み、硬くなった乳首を見せつけるのよ』
私は命令のままにブラウスをはだけ、Fカップの豊かな乳房をさらけ出す。指先で乳首をつまむと、それはもう小石のように硬く、色も濃くなっている。
『そうよ、もっと。彼が口に含みたくなるように、指で転がしてごらんなさい。ほら、もうびんびんに尖って、痛いくらいでしょう?』
指で弄ぶたびに、甘い疼きが背筋を駆け上がる。次に、悪魔は下半身へと命令を移した。
『次は、貴女の秘密の花園よ。まずは、そのシルクのパンティーの上から、ゆっくりと愛撫なさい。あの男に、貴女の熱が生地に染みていく様を見せてやるの』
濡れた指先がパンティーの上から触れると、それだけでビクッと腰が震える。摩擦で熱が生まれ、私の愛液でクロッチの部分がじっとりと濡れ、色が濃くなっていくのが鏡越しに見えた。
『もう待ちきれないのでしょう? さあ、その濡れた生地を指で横にずらしなさい。そして、貴女の全てを、彼の前にさらけ出すのよ』
ずらされた生地の下から現れたそこは、もう無惨なほどに濡れそぼっていた。蜜で光る花弁は腫れあがり、小さくひくついている。
『なんていやらしい姿なの。さあ、その花弁を、自分の指でゆっくりと開いてごらんなさい。恥ずかしがらずに。中の粘膜まで、彼が隅々まで見られるように』
私は震える指で、言われた通りに花弁を押し開く。隠されていた内部が、ぬるりとした光を放って姿を現した。
『ほら、中央に可愛らしい蕾があるでしょう? そこが貴女の弱点よ。指先で優しく、くるくると撫でておやりなさい。彼に、貴女がどれだけ感じやすいか、教えてあげるの』
蕾に触れた瞬間、「ひぅっ」と声が漏れた。身体が勝手に震え、腰がくねる。信じられないほどの快感が、私を支配していく。
『見てごらんなさい、美月。もう奥から蜜が溢れて、滴っているわ。その指ですくい取って、彼に見せつけておやりなさい。これが、貴女が彼を欲しがっている、何よりの証拠よ』
私は指先についた透明な雫を、鏡の中の男の幻影に見せつけるように掲げた。ああ、私は、なんて淫乱で、破廉恥な女なのかしら。
そして、ついに悪魔が最後の命令を下す。
『さあ、もう我慢しなくていいわ。それはもう、貴女の指ではない。彼の、硬く熱い欲望そのものよ。それを、貴女の中に迎え入れなさい』
その言葉が合図だった。指が、熱く濡れた入り口から、吸い込まれるように中へと侵入していく。中は信じられないほど熱く、ぬるぬるの粘液で満ちている。指を動かすたびに、きつく、それでいて柔らかい内壁が、にゅるり、と絡みつき、奥へ奥へと引きずり込もうとする。
「あぁっ! だめ、そんな、激し……っ!」
幻想の彼が、容赦なく私の最深部を抉る。現実の私の指は、その幻想をなぞるように、内部で激しく動き回る。吸い付くような襞(ひだ)の動きが、締め付けが、彼の存在をますますリアルなものにしていく。
「いっ、く……! もう、いっちゃうからぁっ!」
幻想の彼が、私の内部で灼熱の奔流を解き放つのを感じる。その瞬間、私の思考は完全に焼き切れ、快感の白い光に包まれた。身体がビクンビクンと大きく痙攣し、現実の指も、幻の彼の奔流も、何もかもを内側から絞り尽くすように、私は絶頂の淵へと沈んでいった。

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