金曜の夜。
お気に入りのワインを片手に、都心の夜景を見下ろす自室のソファで、私は一人、静かな時間を過ごしていた。日中は分刻みのスケジュールと、神経をすり減らすような交渉の連続。知的なキャリアウーマンとしての仮面を完璧に保つための代償は、週末に訪れる深い孤独と、その奥底で疼く、誰にも言えない欲望。
今夜も、そんな疼きを慰めてくれる「おかず」を探して、タブレットの画面をなぞっていた時だった。
そのタイトルを目にした瞬間、私の指がピタリと止まった。全身に、甘く痺れるような電流が走る。
「スペンス乳腺…」
忘れるはずもない。かつて、尽きることのない好奇心に突き動かされ、私が密かにその扉を叩いた、あのクリニックの名前。乳房の奥深くに眠る、女性だけのGスポット。それを専門のセラピストに開発されるという、背徳的で未知なる体験。
施術台の上で、少し冷たいジェルを胸の谷間に落とされた時の、ひやりとした感触。セラピストの、男性的で、けれど驚くほど繊細な指使いが、私の乳房を優しく包み込み、ゆっくりと揉み解していく。最初はくすぐったいだけだった感覚が、脇の下に近い、胸の付け根のある一点を的確に捉えられた瞬間、脳天を突き抜けるような、今まで感じたことのない種類の快感に変わった。
「っ…ぁ…、そこ…なに…っ!」

思わず漏れた声。身体がビクンと跳ね、指先から力が抜けていく。乳首が硬く尖るなんてレベルじゃない。胸全体が、それ自体が一つの性器になったかのように脈打ち、熱を帯びていく。あの感覚…。
ゴクリと、喉が鳴った。ワイングラスを持つ指先に、力が入る。
画面の中では、私と同じように、少し緊張した面持ちの水川スミレさんが、インタビューに答えている。彼女の、バランスの取れた美しい身体。きゅっと引き締まったくびれと、その上に鎮座する、柔らかそうな双丘。
「これから、私の身体も、あんな風に…?」
気づけば、私は再生ボタンを押していた。この作品を見つけてしまったのが、今夜の運の尽きだったのかもしれない。
映像の中の彼女が、私と同じように施術台に横たわる。セラピストの指が、オイルで濡れた彼女の胸に触れた瞬間、私の身体も、まるで記憶をなぞるように反応し始めた。
シルクのルームウェアの上から、そっと自分の右胸を覆う。服越しに伝わる、自分の肌の熱。心臓の鼓動が、少しずつ早くなっていくのがわかる。指先で、乳輪の輪郭をゆっくりとなぞってみる。
「ん…ぅ…」
小さく、息が漏れた。
あの日の施術を思い出しながら、指の腹で、胸の膨らみを優しく圧迫する。柔らかい肉が指を受け止め、沈み込む感触。あの時も、こうだった。最初は、ただのマッサージのような、心地よい刺激。でも…。
映像の中のセラピストが、的確に「スペンス乳腺」を捉える。水川スミレさんの身体が、大きく弓なりにしなった。喘ぎ声にならない、絶叫に近い声が響き渡る。
「あ〝っ…!いやぁっ、なにこ、れぇっ…!!」
その瞬間、私の身体にも、記憶の疼きが走った。
たまらなくなって、ルームウェアのボタンに手をかける。一つ、また一つと外していく指が、もどかしい。早く、直接触れたい。この疼きの正体を、確かめたい。

白いレースのブラジャーが現れる。カップから少しだけ溢れそうな、私の胸。その中心で、硬く尖った乳首が、早く触ってと主張している。
指を、カップと肌の隙間に滑り込ませた。
ひんやりとした指先が、火照った肌に触れる。ぞくぞく、と背筋を走る快感。あの時、セラピストの指が初めて素肌に触れた時と、同じ感覚。
乳首の先端を、親指と人差し指でそっとつまむ。
くるり、くるりと転がすように、優しく。
「…んっ、…ふぅ…っ」
だめ。これだけで、腰の奥が、きゅぅん…と甘く締め付けられる。
もっと。もっと、あの時みたいに…。
ブラジャーのホックを外し、肩紐をずらす。解放された私の双丘が、重力に従ってふわりと揺れた。鏡に映る自分の姿は、頬を上気させ、瞳を潤ませて、とてもじゃないけれど、日中の私からは想像もつかないほど、だらしなく乱れていた。
映像の中では、開発が進み、水川スミレさんが指で乳首を触られただけで、脚を痙攣させている。信じられない光景。でも、今の私には、その感覚が痛いほどわかる。胸が、こんなにも感じてしまうなんて。
自分の指で、あの日のセラピストの動きを真似てみる。脇の下から、胸の付け根へ。ゆっくりと、圧をかけながら、指を滑らせる。そして、あのポイントを…探す。
「…ここ…かな…?」
ぐっ、と少しだけ強く押し込んでみた、その瞬間。
「ひぁっ…!?」
息が止まる。脳髄が痺れ、視界が白く点滅する。これだ。この感覚。
胸だけで、こんなに感じてしまうなんて。下腹部の奥、子宮の入り口あたりが、きゅううっと収縮して、じゅわ…と熱いものが溢れ出すのがわかった。
パンティの上から、私の秘密の場所にそっと触れてみる。
…信じられない。もう、とっくに湿っている。シルクの生地が、肌に張り付くほどの、蜜で。
私がなぜ、こんなにもたった数分で乱れてしまったのか、その理由を知りたくない…? あのクリニックでの記憶と、この映像の中で悶えるスミレちゃんが、私の頭の中で完全に一つになってしまったの。
言葉だけの告白じゃ、信じられないでしょう…?
だったら、あなた自身の目で確かめてみて。私の身体が、どれほど正直に、この快感に反応してしまったのか…その「証拠」を、あなただけにこっそり見せてあげる。
【▼私をここまで狂わせた「証拠」の映像はこちら…▼】
もう、理性のダムは決壊していた。
タブレットをベッドサイドに置き、私は四つん這いになる。鏡に映る、自分の姿。だらしなく揺れる乳房と、潤んだ瞳。もっと、もっと乱れたい。あの日のように、快感だけで支配されたい。
映像の中の水川スミレさんは、今や、乳首を触られただけでビクビクと全身を震わせ、潮まで吹き始めていた。口からはよだれが垂れ、恍惚と苦悶が入り混じった、最高の表情を晒している。
「すごい…あんな風に…なっちゃうんだ…」
羨望と興奮で、私の身体はさらに熱を帯びる。
濡れそぼったパンティのクロッチを、指でゆっくりと横にずらした。
待ちかねたように、白いネットリとした蜜が、とろりと溢れ出す。その蜜を指先に絡め取り、硬く腫れ上がった私のクリトリスへと塗り付けた。
「んんっ…!ぁ、…ふぅ…っ…」
冷たい蜜が、熱を持った一点に触れる。その温度差だけで、腰が勝手に揺れてしまう。
まるで、映像の中の彼女と競い合うように。
私は、自分の乳房を鷲掴みにし、あのポイントを強く、強く押しながら、クリトリスを優しくこすり始めた。
「あっ、…んっ、…や…、そこ、と…こっち…いっしょは…だめぇ…っ!」
脳が、二つの強烈な快感の処理に追いつかない。
胸からの刺激と、股からの刺激が、背骨の中心を通る一本の神経で繋がって、身体の奥で爆発しそうになる。
映像の中では、ついに男性の指が、彼女の濡れた秘裂へと差し込まれていた。

「ひぃぃっ!!」と絶叫する彼女。指が入っただけで、噴水のように潮が噴き上がる。
「私も…もう、がまんできない…」
蜜でぬるぬるになった指を、一本、自分のナカへと滑り込ませた。
きゅうっと、内側のヒダが指に絡みついてくる。なんて熱いの。なんて、気持ちいいの…。指をゆっくりと抜き差しするたびに、「くちゅ…くちゅ…」と、恥ずかしい水音が部屋に響く。
自分の胸を揉みしだきながら、もう一本、指を中に加える。
膣壁をなぞり、Gスポットを探り当てる。ぐりぐり、と圧をかけると、胸の奥の疼きと完全にリンクした。
「あっ、あぁっ!そこっ、そこ、おなじぃっ…!」
もう、自分が誰で、どこにいるのかもわからなくなってくる。
見えるのは、タブレットの中で痙攣しながら失神寸前になっている水川スミレさんの姿と、鏡の中で、同じように腰をくねらせ、よだれを垂らし始めている、私自身の姿だけ。
「いく…っ、もう、いっちゃうからぁっ…!!」

胸のポイントを、爪が食い込むほど強く押す。
ナカの指は、Gスポットを激しく掻き鳴らす。
その瞬間、身体の奥で、何かが弾けた。
「んぎぃぃぃーーーーーっっ!!!!」
声にならない絶叫。
全身が、硬直するほどの痙…攣。
胸の先から、足先の爪まで、ぶるぶると震えが止まらない。そして、下腹部の奥から、熱い奔流が、何度も、何度も、シーツを濡らしていくのがわかった。
ビクッ、ビクンッ!と、身体が跳ねるたびに、暖かい潮が溢れ出す。
「はぁ…っ、はぁ…っ、…ぅ、…ぁ…」
どれくらい、そうしていただろう。
意識が、ゆっくりと現実に戻ってくる。
視界に映るのは、びしょ濡れになったベッドシーツと、自分の蜜と潮でぐしょぐしょになった手。そして、タブレットの画面の中で、同じようにぐったりと、されど満足げな表情で息を整えている、水川スミレさんの姿。
私を、ここまでめちゃくちゃにさせた、この作品…。
ただのAVじゃない。これは、私の身体に刻まれた、あの日の快感を呼び覚ます、禁断のスイッチだった。
あなたも…このスイッチ、押してみる…?
私と同じ快感の共犯者に、ならない…?
【→水川スミレと私を同時にイかせた『スペンス乳腺開発クリニック』を観てみる】
【日記の結び】
シーツを取り替える気力もなく、私は濡れたベッドに横たわったまま、天井を見上げている。身体の火照りは、まだ収まらない。胸の奥も、子宮の奥も、まだじんじんと甘く疼いている。
画面の中の水川スミレさんと、この部屋で一人、乱れ果てた私。
今夜、二人の女が、それぞれの場所で、同じ種類の快感に溺れ、堕ちていった。
この熱を、この疼きを、知ってしまった。
…ねぇ。もし、この日記を読んでいるあなたが、今、私の隣にいたら…どうなってしまうんだろう。
次は、あなたにも、この熱を直接教えてあげたい…。
なんて、そんなことを考えてしまう、週末の夜。
おやすみなさい。
私の、秘密の共犯者さん。


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