今夜も、世界が眠りにつく頃、私は一人、自分だけの仮面を外す。
窓の外に広がる摩天楼の光は、まるで遠い世界の出来事のよう。日中、怜悧なキャリアウーマンとして数字と戦っていた私はもういない。ここにいるのは、上質なシルクのネグリジェに身を包み、己の欲望の輪郭を確かめようとする、ただの女「神崎美月」。
その夜の始まりは、偶然開いた一つの動画だった。
『転勤で田舎に引っ越した僕は、下の階に住む奥さんに毎日誘惑されて…』
画面の中の女優、森沢かな。
田舎の風景に溶け込めない、都会的な美貌と儚げな雰囲気。でも、その奥に私と同じ種類の、決して飼い慣らすことのできない「熱」を宿していることを、私は一目で見抜いてしまった。
物語が進み、私の理性を焼き切る、あの瞬間が訪れる。
縁側で、旦那さんのものを咥えながら、彼女は「覗かれている」視線に気づくの。
恐怖でも、羞恥でもなく、彼女はその視線を自らの快感のスパイスに変えた。
しゃがんだままの痴態を晒し、着物の裾をたくし上げ、あろうことか、濡れた指を自らの花園に差し入れたのよ。
フェラをしながら、オナニー…。

その背徳的な光景が、私の身体の奥深くに眠っていたスイッチを押してしまった。
「…っ、ぁ…」
熱い吐息が、私の唇から零れ落ちる。
もう、だめ。見て見ぬふりはできない。
私の身体は、私よりも正直に、この衝動を受け入れていた。
タブレットをベッドサイドに置き、私はゆっくりと立ち上がって、姿見の前へ。
鏡に映る自分を見つめる。少し火照った頬、潤んだ瞳…。
ネグリジェの上から、そっと自分の右胸に手を当てた。指先で乳首のあたりをくるくると撫でると、薄いシルク越しに、そこがきゅっと硬く尖っていくのが分かる。
ああ、もう感じているのね、私…。
肩紐に指をかけ、するり、と滑り落とす。
あらわになった素肌に、部屋の冷たい空気が触れて、硬くなった乳首がさらにきゅっと主張する。
ブラジャーのホックを外し、窮屈な蕾を解放してあげた。
指で乳輪をなぞり、硬くなった先端を親指と人差し指で転がす。
「んぅ…っ」
それだけで、甘い痺れが背筋を駆け下り、子宮がきゅん、と収縮したのが分かった。
自分の指が、ゆっくりと下腹部へと降りていく。
まだ、ショーツの上から。
秘密の場所を、指の腹で縦に、優しくなぞる。
じわり、と布地が湿り気を帯びて、色が濃く変わっていくのが見えた。
もう、こんなに濡らして…。なんていやらしい子。
私は、鏡に映る自分に囁きかける。
ショーツのクロッチをゆっくりと横にずらすと、そこにはもう、白いネットリとした蜜が溢れ出て、キラキラと輝いていた。

その蜜を指ですくい取り、露わになったクリトリスに塗り広げる。
「ひぅっ…!」
直接的な刺激に、思わず声が漏れた。
小さく硬くなったそこを、くるくると、執拗に撫で回す。腰が勝手にくねり、鏡の中の私が、恍惚とした表情で喘いでいる。
人差し指を、そっと、入り口に押し当てた。
自分の蜜でぬるぬるになったそこは、何の抵抗もなく、私の指をちゅぷり、と吸い込んでいく。
ああ、なんて熱いの…。
中のヒダが、まるで生き物のように、私の指にまとわりついてくるのが分かる。きつく、熱く、私の指を締め付けて、もっと奥へと誘ってくる。
「くちゅ…じゅる…」
鏡に映る私の股から、淫らな水音が聞こえてきた。
一本、また一本と、指を増やしていく。
中指も、薬指も、今はもう簡単に入っていく。中で指を開いたり閉じたり、壁面をごりごりと擦り上げたりするたびに、脳が蕩けるような快感が押し寄せる。
「ぁ、…そこっ、もっと…っ、あ、ぁんっ…!」
何度か、軽い絶頂の波が訪れた。身体がびくびくと痙攣し、指が愛液でぐっしょりと濡れる。
気持ちいい。
確かに、すごく、気持ちいいの。
でも…。
何かが、足りない。
指の感触では、この身体の芯で燃え盛るような、疼くような渇きを癒すことはできない。
もっと硬くて、もっと太くて、もっと無遠慮な何かが、私の中を蹂躙してくれなければ、本当に満たされることはない。
そんな飢餓感が、絶頂の余韻の中にいる私を、さらに深い欲望の沼へと引きずり込んでいった。
私の指がどうして物足りなくなったのか、知りたくない…?この指先の快楽の果てに、私が何を求めたのか…その答えを、あなただけに見せてあげる。これは、私の理性が完全に壊れる瞬間の、秘密の記録よ。
指を引き抜いた私は、まだ熱く脈打つそこを見つめながら、ゆっくりと立ち上がった。
向かう先は、クローゼットの奥。
そこに隠してある、私の秘密の共犯者。
ひんやりとした、黒いシリコンのディルド。
それを手に、私は再び鏡の前にしゃがみ込んだ。
森沢かながしたように。
そして、今度はもっと大胆に、その玩具を自分の顔へと近づける。
先端を、ぺろり、と舌で舐め上げた。
自分の唾液で、てらてらと光るそれを見ているだけで、背徳感で身体の奥がさらに熱くなる。
「んぅ…ふぅ…っ」
意を決して、それをゆっくりと咥える。
鏡に映る自分は、口元をいやらしく動かし、玩具で奉仕する痴女そのものだった。
ああ、なんて破廉恥な姿…。
でも、最高に、興奮する。
しばらくの間、自分の唾液でそれを十分に濡らした後、私はゆっくりと口から引き抜いた。
きらりと光る唾液の糸が、私の指と、すでに愛液で濡れそぼった太ももに垂れる。
もう、めちゃくちゃだった。
その、唾液と愛液が混ざり合った、生々しく濡れたディルドの先端を、私はゆっくりと、自分の花の入り口へと導いた。
「…っ、ぁ…!」
指とは比べ物にならない太さと硬さに、思わず息を呑む。
みち、みちみち…っ。
熱い内壁が、冷たい異物をゆっくりと、しかし確実に飲み込んでいく。
鏡には、自分の手で、男性器を模した玩具を、自分の体内に埋めていくという、信じられないほど淫らで背徳的な光景が映し出されていた。
ゆっくりと、腰を動かす。
その瞬間、私の頭の中に、奇妙な妄想が流れ込んできた。
これは、ディルドじゃない。
これは、あの作品で森沢かなを貪っていた、あの男のモノ…。見ず知らずの男の硬い欲望が、今、私のいちばん奥を目指して、突き進んでくる…。
「いや…っ、だめ…そんな、ところに…」
口では拒絶しながらも、腰は正直に、もっと深く受け入れようと揺れていた。
現実(鏡に映る自分)と妄想(見知らぬ誰かに犯されている感覚)が、ぐちゃぐちゃに交錯する。
「あ、ぁんっ!…もっと、奥まで…きて…っ!」
もはや、誰に言っているのかも分からない。
私はただ、快感の波に溺れながら、さらに深く、ディルドを、自分の子宮の入り口目指して、ぐっと押し込んだ。
そして。
**こつん。**
「…っひぃぃぃッ!!!」
いちばん奥の、いちばん敏感な場所。
私のポルチオに、ディルドの先端が、硬く、確かに、触れた。
その瞬間、私の脳天を、閃光が突き抜けた。
全身の神経が、その一点に集中し、大爆発を起こす。
視界が真っ白になり、身体がビクンッ、ビクンッ!と、意思とは無関係に大きく弓なりに反り返った。
「いっ、…いっちゃううぅぅぅぅうううう!!!」
膣の奥から、熱いものが、奔流のように溢れ出すのが分かった。
もう、止まらない。
指での快感など、霞んで消えてしまうほどの、絶対的な絶頂。
何度も、何度も、身体の奥が激しく痙攣し、快感の嵐が全身を洗い流していく。

どれくらいの時間が経ったのかしら…。
私はぐったりと床にへたり込み、恍惚と羞恥に濡れた顔で、ただただ荒い呼吸を繰り返していた。
私を、ここまで狂わせたのは、あの映像。
そして、指先だけでは満足できなくなった、私の尽きない好奇心。
森沢かなの痴態が、私の中に眠っていた、本当の痴女を完全に呼び覚ましてしまったの。
あなたも、私と同じ地獄に堕ちてみる…?
ポルチオで迎えた、初めての絶頂。
その余韻に浸りながら、私はまだ少し震える指で、この長い夜の告白を綴っている。
私のこんな姿を知ってしまったあなたも、もう共犯者。
ねぇ、次は、どんな私の姿が、見てみたい…?


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