【神崎美月の秘密日記】新幹線グリーン車、隣の彼にバレないように…

11月8日 (金) 夕刻

滑るようにホームへと滑り込んできたN700S系「のぞみ」。その純白の流線形ボディは、これから私を現実(大阪)から日常(東京)へと連れ戻す、優雅な時空のカプセルだ。

2泊3日の大阪出張。手強いクライアントとの交渉は熾烈を極めたけれど、最終的にはこちらの要求をほぼ満額で通すことができた。アドレナリンが沸騰するような緊張感から解放された今、私の身体は心地良い疲労と、それを上回る達成感に満たされている。

奮発して取ったグリーン車のシートは、私の疲れた身体を柔らかく包み込んでくれる。ふかふかの絨毯、適切な間隔を保たれた座席、そして静寂。全てが、戦い抜いた私へのご褒美のよう。窓の外では、夕暮れの街並みが猛烈なスピードで後ろへと溶けていく。この、現実から切り離されたような浮遊感が、私は昔から好きなの。

「失礼」

短い言葉と共に、私の隣のA席に、一人の男性が腰を下ろした。不意に漂ってきた、サンタ・マリア・ノヴェッラの「ポプリ」の香り。それは、ウッディでスパイシーでありながら、どこか甘さを秘めた、極めて知的な香りだった。

盗み見るつもりはなかったけれど、視界の端に入ってきたその姿に、私の心臓が小さく跳ねた。歳の頃は30代後半かしら。仕立ての良いチャコールグレーのスーツに、手元にはパテック・フィリップのカラトラバ。無駄なく鍛えられた身体と、理知的な光を宿した瞳。PCを開くその指先まで、洗練されている。

完璧だわ。私の、好みのタイプそのもの。

彼が座った瞬間から、このグリーン車の空気は変質した。ただの快適な移動空間から、抗いがたい緊張感をはらんだ、密室へと。私の内側で、昼間は決して顔を出さない獣が、ゆっくりと目を覚ますのを感じる。

*…あら、美月。良い男じゃないの。君が三日三晩、知略の限りを尽くして打ち負かした相手も、確かこんなタイプの男だったわね。君は、こういう男を屈服させるのが好きなんだろう? そして、その逆も…*

鏡の中にいるはずの、もう一人の私の声が、脳内に直接響いてくる。やめて。この人は、ただ偶然隣に座っただけの、赤の他人よ。そんな、いやらしい目で見るなんて…。

でも、私の身体は正直だった。彼の気配を感じるだけで、子宮の奥が疼き始める。スーツの生地越しに伝わってくるであろう体温を想像するだけで、太ももの内側が、じわりと熱を帯びていくのがわかる。

いけない妄想が、頭の中で火花を散らす。もし、この人が、私の本性に気づいたら? この完璧なキャリアウーマンの仮面の下に、Mの刻印を宿した淫乱な痴女が隠れていることを知ったら、一体どんな顔をするだろう。軽蔑するかしら。それとも、その理知的な瞳を、欲望の色に濁らせるのかしら…。

*…試してみればいいじゃない。この状況は、君のために用意された舞台よ。見られるかもしれないスリル。バレてはいけない背徳感。君の大好物でしょう? さあ、始めなさいな、このスケベな女神様…*

その悪魔の囁きは、もはや私の本心そのものだった。

私は何気ない素振りで、貸し出されたブランケットを膝にかけた。これで、下半身の自由は確保されたわ。次に、おもむろにハンドバッグからスマートフォンを取り出す。ロック画面を解除し、指は慣れた手つきで、ある一つのアプリを探し当てた。マッサージ用の、という名目でインストールされた、バイブレーションアプリ。

心臓が、早鐘を打っている。指先が、興奮で微かに震えている。隣の彼は、完全にスクリーンに没入していて、こちらには全く気づく様子はない。今しかない。

私はまず、手始めに、ブランケットの中でジャケットのボタンを一つ、外した。シルクのブラウスの上から、自分の指で左の乳房をそっと撫でる。それだけの行為で、乳首はすぐに硬く尖り、存在を主張し始めた。美乳、なんて褒められることもあるけれど、それは男を惑わすためだけのもの。今は、私自身を狂わせるための装置でしかない。

*…いいわ、準備運動はそのくらいにして。本番と行きましょうか。君のその湿った熱い場所が、もう待てない、と訴えているのが、私にはわかるわ…*

私は息を殺し、スマホの画面をタップした。バイブレーションの強度は、一番弱い『弱』。

ブーーーーッ…

微かな、しかし明確な振動が、スマホを握る私の手に伝わる。私はそのスマホを、ブランケットの下、タイトスカートの上から、ゆっくりと自分の股間へと近づけていった。

「んっ…」

思わず、吐息が漏れそうになるのを、唇を噛んでこらえる。布地一枚を隔てて伝わる、無機質で連続的な刺激。それは、新幹線の規則正しい揺れと共鳴し、私の身体の最も敏感な一点を、執拗に震わせ始めた。

隣の彼が、ふと、キーボードを打つ手を止めた。

まさか、気づかれた…!?

全身の血が凍りつく。心臓が喉から飛び出しそうだわ。私は慌ててスマホの振動を止め、何食わぬ顔で車窓の景色を眺めた。彼は、ただ少し疲れたように首を回しただけで、すぐにまた作業に戻っていった。

よかった…。でも、なんてスリリングなの。この恐怖が、快感を何倍にも増幅させる。私は、紛れもないMなのだと、改めて自覚させられる。

*…ふふ、今の顔、最高だったわよ、美月。恐怖に怯える小動物のようでありながら、その瞳の奥は、興奮で濡れそぼっていた。もっと欲しくなったんでしょう? バレるかバレないかの、ギリギリの綱渡りを…*

挑発に乗るように、私は再び振動をONにした。今度は、少し強度を上げて『中』に。

さっきよりも力強い震えが、スカートの生地を通して、私の秘裂を直接的に刺激する。もう、じんわりと愛蜜が滲み出しているのがわかる。スキャンティーの中が、ぬるぬるとした感触で満たされていく。

ああ、だめ。このままじゃ、スカートに染みができてしまうかもしれない。私はいつも、痴態に備えてノーパンでいることが多いけれど、今日に限って、上質なシルクのスキャンティーを穿いてきてしまった。それが、今はもどかしい。

私は、さらに大胆な行動に出た。ブランケットの中で、そっとスカートのジッパーを下ろし、腰までずり下げる。そして、スキャンティーのクロッチ部分を指で横へとずらし、露わになったそこへ、振動するスマホの背面を、直接押し当てたのだ。

「ひぅっ…!ぁ…っんんん…!」

声にならない悲鳴が、喉の奥でくぐもった。粘膜に直接触れる、冷たくて硬いプラスチックの感触。そして、そこから伝わる、脳髄を痺れさせるような強力なバイブレーション。もう、思考が正常に働かない。

じゅる、じゅる、と私の愛液とスマホが擦れる、淫らな音がブランケットの下で響いている。この音が、隣の彼に聞こえてしまったら…? 想像しただけで、背筋がゾクゾクして、私の花弁はさらにきつくスマホを締め付けた。

クリトリスに先端を当てて、小刻みに揺らす。ビクン、ビクン、と腰が勝手に跳ねるのを、必死で押さえつけた。もう、顔は真っ赤になっているに違いない。呼吸も荒くなっているのが自分でもわかる。お願い、誰もこちらを見ないで。車掌さんも、まだ来ないで…。

*…見てごらんなさい、美月。君のその顔、欲望に完全に支配されているわ。知性も品位もかなぐり捨てて、ただ快感だけを求める雌の顔よ。隣の男は、君がそんな顔をしているなんて知りもしない。この状況、最高に倒錯的で、興奮するじゃない…*

その時、アナウンスが流れ、車内灯がふっと消えた。

トンネルだ。

全長数キロにも及ぶ、長いトンネル。窓の外は完全な闇に包まれ、車内は非常灯の薄明りだけになる。

これは、神が与えてくれたチャンス…?

私は、最後の理性をかなぐり捨て、スマホの振動を『強』にした。

ブウウウウウウウウッ!

今までとは比較にならない、暴力的なまでの震えが、私の子宮を直撃する。

ああ、だめ、これ、もう、イっちゃう…!

その瞬間、スマホの振動は、もはやただの機械の震えではなくなっていた。

それは、隣に座る彼の、骨ばった長い指へと変わっていた。幻想が、現実を塗り替えていく。暗闇の中、彼が私のブランケットに手を差し入れ、私の最も柔らかな場所を、その巧みな指で激しくかき乱している。

「あっ…あ、だめ、そんな、とこ…っ、ゆび、あなたの…!」

彼の指が、私のいちばん感じるところを的確に捉え、抉るように刺激する。そして、その指はいつしか、彼の熱く硬い自身そのものへと変貌を遂げていた。

*…そうよ、美月。暗闇が君を解放する。もう淑女でいる必要はない。君の本能が求めるままに、その見知らぬ男に貫かれなさい。それが、君という痴女の、本当の姿なのだから…*

幻想の彼が、私の腰をがっしりと掴み、一気にその猛りを最奥へと突き立てた。

「いぎっ…!あああああああああああああああああああああああ!!!!」

トンネル内の轟音に紛れて、私は絶頂の叫びを上げた。全身が弓なりにしなり、快感の波が何度も何度も押し寄せる。内部が、ありえないほど強く痙攣し、熱い蜜を大量に放出した。スマホも、私の手も、太ももも、全てがぐっしょりと濡れていく。思考は完全に停止し、私はただの肉塊となって、恍惚の闇に沈んでいった。

ふいに、視界に光が戻ってきた。

トンネルを抜けたのだ。

車内には、何事もなかったかのような日常の光景が広がっている。

「はぁ…っ、はぁ…っ、ぁ…」

私は、荒い息を必死に整えながら、ブランケットの下で素早く後始末をした。濡れたスマホをハンカチで拭き、スカートを元に戻す。隣の彼は、トンネルを抜けたことにさえ気づいていないかのように、スクリーンに視線を落としたままだった。

何食わぬ顔で、私もPCを開き、仕事のメールをチェックし始める。

でも、私の内側は、さっきまでの痴態の余韻で、まだじんじんと痺れていた。

誰も知らない。この静かなグリーン車で、完璧なキャリアウーマンが、見知らぬ男の隣で、声を殺して絶頂を迎えたなんて。

この秘密だけが、私の本当の姿。

この背徳感だけが、私を生かしてくれる。

私は、このどうしようもない業を抱えて、これからも生きていくのだろう。そう思うと、また、スカートの下が、静かに潤み始めていた。

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この記事を書いた人

はじめまして、美月です。昼間は丸の内で働くコンサルタント。夜は、誰にも言えない秘密のレビューを、この場所だけで綴っています。あなたと、特別な時間を共有できたら嬉しいな。

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